鎌ヶ崎の遊歩道を「羽衣伝説」の天女がご案内します。
三保松原(みほのまつばら)へようこそ。わたくしは、三保に伝わる「羽衣伝説」の天女です。
今日は、「鎌ヶ崎の遊歩道」の道中、あなたのさまざまな発見のお手伝いを致します。歩いた先には、三保松原の富士山ビューで1番人気の「鎌ヶ崎」が待っていますよ。自転車の方は、押して歩いてくださいね。
石碑にあるように、三保松原は「日本新三景」の1つです。大正のはじめに、当時大人気だった雑誌が行った読者投票で、ダントツ1位に輝きました。日本新三景の碑は東郷平八郎の揮毫(きごう)です。他にも大沼と耶馬渓にも同じ碑があります。
では、遊歩道の「松林の道」へ進んでください。
道の両側にある大きなマツの中を50 mほど進むと、突然、背の低いかわいらしいマツがたくさん現れます。以前生えていたマツが病気で枯れてしまったので、新しく幼いマツが植えられているのです。まだ小さくて観察しやすいので、ベタベタする松脂(まつやに)に気を付けながら、そっと触ってみてください。
葉っぱがチクチクしていますよね?見かけがそっくりなアカマツというマツもありますが、チクチクしているのは、クロマツです。
松の器官について
この道では春には、松の枝先に咲いた花を、夏には、松ぼっくりの赤ちゃんを、秋には、パカッと開いた松ぼっくりを、冬には、春に備えて膨らんだ新芽や、落ちている松ぼっくりを、発見できますよ。
幼いマツは、成長すると込み合ってくるので、しばらくすると間引きをされ、お正月の飾りなどに生まれ変わります。
そして、再び大きなマツが現れたら、マツグミを探すのもオススメです。
マツグミ
どんなものかというと…マツの上の方を見ると、木の途中からマツとは違う葉っぱが生え、鳥の巣のようにモシャッとしたものが見える事があります。これが、マツグミという、マツに寄生するヤドリギの仲間なんです。
コツブタケ
また、焦げ茶色の光沢のある、丸っとしてかわいいキノコが見つかるかもしれません。これは、マツと共生している菌根菌(きんこんきん)の一種であるキノコです。草取りや松葉掻きがしっかりされているからこそ、見ることができるんですよ。
では、このまま歩いて、右手に小さな鳥居と祠が見えたら、次のガイドを再生してください。
小さな鳥居と祠は、「おいべっさん(えびすさん)」と呼ばれる、御穂神社の境外社(けいがいしゃ)です。
三保の漁師さんたちは、毎年3月の浦祭(うらまつり)で、御穂神社と、この「おいべっさん」、そして飛行場の方にある「お稲荷さん」にお参りし、そこでいただく海上安全大漁満足のお守りを持って、漁に出ています。
鎌ヶ崎の碑
分かれ道を右に進むと、いよいよ、富士山の眺望スポット「鎌ヶ崎」に出ます。急に風が強くなったと感じるかもしれませんね。
実は、遊歩道では松林が海風を防ぎ、あなたのことをずっと守ってくれていたのです。
L型突堤
海岸に出たら、そこが鎌ヶ崎。左前方に見えるのが、富士山です。広がる海は、日本一深い駿河湾。1500種類以上の魚類が生息しています。
海岸沿いを見ると、よくある形の波消しブロックが設置されていますよね。その左横に、四角い枠のような物がたくさん埋まっているのがわかりますか?
これは、海面から突き出さない新しいタイプの「L型突堤」というもので海の中には、4階建てビルほどの高さを持つ箱が埋められています。三保松原では、景観の保護と防災対策を両立するために、新しいタイプの突堤への置き換えが進められているのです。
では、私はこちらで失礼します。引き続き鎌ヶ崎からの景色をお楽しみください。
ちなみに鎌ヶ崎の碑から松原の中を後方に進むと、神の道の御穂神社側にあるものとお揃いの「名勝三保松原の碑」があります。
名勝三保松原の碑
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